労働基準法と「うつ」:働き過ぎのリスクと対策

2018-10-29

こんにちは、「うつ脱!」主宰の森耕一です。今回は、日本産業カウンセラー協会の会員である 中村澄江 先生に寄稿していただいた記事を掲載します。

~~~~ 労働基準法と「うつ」:長時間労働?働き過ぎのリスクと対策 ~~~~

歩くサラリーマンたち皆さんは、毎日どのくらい残業をしていますか?休日に出勤することはありますか?
仕事に対する責任感から遅くまで残業をしたり、お休みの日に休日出勤をしたり、無理をして長時間働いていませんか?
もしかしたら、労働基準法の枠を超えて知らず知らずのうちに身体や精神に大きな負担をかけて、うつ病や不安障害などの病気のリスクを高めているかもしれません。

今回は、2回に分けて、労働基準法の枠を超えた過重労働や長時間労働で心身が疲れ、うつ病などの病気に至るリスクとその対策について、考えていきたいと思います。

ミニQ&A《労働基準法と「うつ」》

Q:労働基準法は、仕事でうつになるのを防いでくれますか?
A:労働基準法が、直接、うつや不安障害といったメンタル不調を防いでくれるわけではありません。しかし、労働条件の最低基準を定めた法律であるため、労働基準法に達しない契約を結んでもその部分は無効となります。会社や社長の都合の良いような契約はできないので、間接的に労働者の健康を守っていると言えるでしょう。

Q:パワハラで、うつに追い込まれたら、労働基準法は助けてくれますか?
A:労働基準法は、うつに追い込まれた人を直接救うことはできません。なぜなら、労働基準法にはうつを初めとするメンタル不調についての定めがないからです。しかし、うつの原因が長時間労働や休むこともできない等、労働基準法に定められたものであれば、行政は会社を注意することができるでしょう。

Q:労働基準法は、うつに追い込まれた時、どんな点で役に立ちますか?
A:労働基準法がうつなどのメンタル不調に追い込まれた時にどのように役に立つかというと、うつに追い込まれた背景により異なります。もし、違法残業によりメンタル不調になってしまった場合は、会社は労働基準法の違反を問われます。また、実際にうつで通院や療養のために会社を休む場合は有給休暇を請求することができます。また、うつの原因が業務に起因するもので認定を受ければ、労災補償が受けられます。


第1回目は、そもそも労働時間とは?残業とは?休日とは?法律で定められている基本的な部分を見ていきたいと思います。

労働時間とは(原則は法律で決められているけれど….)

毎日の労働時間は人により様々ですよね。始業時間と就業時間が決まっていたり、シフト制で毎日働く時間が違ったり、色々な働き方があると思いますが、労働時間に決まりがあ
るのはご存知ですか?

当然そんな事は知っているよと思われる方、そんな決まりは一度も聞いたことがない方、聞いたことはあるけどよくわからない方、色々な意見が出てきそうですが、実は、労働時
間は労働基準法という法律ではっきりと定められています。

労働基準法第32条
「使用者は、休憩時間を除き1日8時間を超えて、また1週間40時間を超えて労働させてはならない」(抜粋)

このように、原則1日8時間以内1週間40時間以内の範囲でしか働くことはできないのです。
例えば、社長から「今日は忙しいから残業してね」と言われて、8時間以上働いてしまうと、労働基準法違反となり会社は罰せられてしまいます。

壁の時計しかし、1日8時間以内と言っても、急な仕事を頼まれたり、たまたまお客様対応で遅くなったりと、時間を過ぎて仕事をしなければならない時は多々あります。
会社も来客中に突然「8時間経ったので帰ります」と従業員に仕事の途中で帰られてしまったら、取引先やお客様の信用を失い大変困ってしまいます。
これでは会社の経営が成り立たなくなってしまうので、労働基準法では、次のような定めもしています。

労働基準法第36条
「使用者は、労働者代表と書面による協定を結び、これを行政官庁に届け出た場合は、協定で定めるところにより労働時間を延長し、また休日に労働させることができる」(抜粋)

会社と労働者と協定を結べば、原則を超えて労働させても違反にはならないというわけです。

法律用語は分かりづらいので少しずつ確認していきましょう。

会議でパソコン使用者とは、原則の労働時間でも登場しましたが、事業主、代表者、取締役等、いわゆる会社側の人たちと考えてください。

労働者代表とは、働いている人の過半数が加入する労働組合か、または、そのような組合が組織されていない場合は、働いている人の過半数の人たちから選ばれた労働者の代表を指します。

この第36条では、会社側と労働者側の代表と残業時間の上限を決めて、その内容を労働基準監督署に提出すれば、労働基準法で定められた原則の労働時間を超えて働かせても違反にはならないと定められているのです。

これが「時間外労働・休日労働に関する協定」と言われるもので、俗にいう「36(サブロク)協定」です。皆さん、お聞きになったことはありませんか?

ちなみに、時間外労働とは、労働基準法で定められた原則の労働時間を超えた労働時間のことを指します。
一般的には決められた勤務時間を超えて仕事をする場合、「残業になった」と言いますが、労働基準法では8時間を超えない労働時間は時間外労働とはなりません。

では、会社と労働者代表で残業時間を自由に決められるのかというと、そうではありません。
厚生労働大臣が定める「基準」があり、原則は1か月45時間1年間360時間となっています。
(1日8時間、週40時間を超えて働ける時間のことです)

都心の夜三宅坂ここで、「あれ?うちの会社は月45時間以上の残業をしているよ。労働基準法違反じゃないの?」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、さらにある協定を結べば、なんと月45時間を超えても労働基準法違反とはならないのです。
それが、「特別条項付協定」です。法律では「通常は、限度時間以内の時間に収まるけれど、臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わざるを得ない特別の事業が生じることが予測される場合」は「特別条項付協定」を結ぶことができるとされています。

この「特別条項付協定」には回数等の制限はあるものの、現段階では上限がないため、月100時間残業の協定を結ぶことも可能です。
もちろん、月80時間を超えた協定届を労働基準監督署に持参しても、「80時間以内にするように」と指導は受けますが、労働基準法違反にはならないのです。

ミニQ&A《適用されないケースも?》Q:労働時間をどう見るかは、働く人の役割や仕事の内容によってちがいがあるのでは?
A:ご意見の通り、通常、労働時間は働く環境、役割、業務の内容により様々です。今回の内容は労働基準法に定められた原則の労働時間制についてお話しました。原則があるということは、例外もあるということで以下に例外を示します。
例えば変形労働時間制、裁量労働時間制といった別の制度を採用し、労使協定を結んでいる会社もあります。その場合、労働基準法32条の法定労働時間の適用を免れます。
また、労働基準法上の「管理監督者」は、使われる側ではないため、労働時間や休日に関する規定が適用されません。さらに、労使協定を結ぶ際は労働者代表となることもできません。

このように、現在の労働基準法では長時間仕事をすることが可能なため、合法的に長時間労働が蔓延しているのです。

平成31年4月1日より、労働基準法36協定で定める時間外労働に、罰則付きの上限(原則、月45時間年360時間、特別な事情がある場合でも単月100時間未満複数月平均80時間)が設けられます。

ここまで労働基準法で定められた原則の労働時間についてみてきましたが、会社にいる時間が全て労働時間となるわけではありません。お昼ご飯を食べたりする休憩時間は、労働基準法の上では労働時間から除かれます。
時々、「仕事が忙しくて休憩もとれない」なんていう相談も受けるので、ここで簡単に休憩について触れたいと思います。

休憩時間とは(ぶっ通しで働くのは法律違反)

労働基準法第34条
「使用者は労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合には少なくとも60分の休憩を1日の勤務時間の途中に与えなければならない」(抜粋)

皆さんの職場はきちんと休憩がとれていますか?毎日、正しく休憩が取れる、というのは現実的には難しいかもしれませんが、労働基準法では会社が休憩を与えていな場合は違反となります。

ちなみに、「休憩」とは、働く人たちが自由に利用できる時間を指します。
例えば、電話当番をしなければならなかったり、必要資料や資材が届かず作業ができない状態であったり、実際に作業はしていなくても使用者から連絡や指示があった場合にすぐに仕事ができるように待機している時間等は休憩時間ではありません。
また、休憩時間に仕事をしても、それが会社からの命令なのであれば、労働基準法では労働時間となり、自発的に仕事の準備等をしているのであれば休憩中の時間を自由に利用しているとなります。

休日とは(週に1日休みがあれば労働基準法違反ではない)

休日は、会社により様々です。社員全員同じ日に休日を決めている会社もあれば、会社全体の休みはなく、シフトで休みを決めている会社もあります。
また、働き方も正社員の方やパート・アルバイトの方、雇用形態により休日は異なります。

時々「今の時代、週休2日制が当たり前なのに、うちの職場は週1日しか休みがないです。労働基準法違反ばかりで困っています」とか
「週1日しか休みがないうえに、忙しい時は7日連続出勤もあるんですよ。ブラックですよ」と言う相談を受けます。
しかし、実際には「それは本当に悪質ですね。ブラック企業ですね」と言えるかと言うと、一概にブラック企業であるとは言えません。
なぜなら、労働基準法では休日は週1日与えれば違反とならないからです。

労働基準法第35条
「使用者は労働者に毎週少なくとも1回、または4週間を通じ4日以上の休日を与えなければならない」(抜粋)

このような定めがあるので、週休2日のうち1日を仕事に当てても、労働基準法上は問題がありません。

PCの前で伸びをするさらに、先ほどの36協定で「休日労働の協定」も合わせて結べば、週1日の休日を与えなくても違反にはならないのです。
最悪の場合、1か月に1日もお休みがなくても現時点では問題にはならないということです。

※時間外労働と同じく、36協定で定める休日労働にも罰則付きの上限が適用されます。
(特別な事情がある場合の単月100時間未満、複数月平均80時間の中に休日労働を含めなくてはなりません)

しかし、労働基準法に違反しないことと、心身の健康の問題とは違います。
長時間労働は、着実に疲労を蓄積させ、心身の健康リスクを上昇させています。
私たちは自分自身を守るためにどのように働いていけば良いのでしょうか。

次回は、長時間労働のリスクと対策についてお話したいと思います。

まとめ:労働基準法と「うつ」の関係:長時間労働?働き過ぎのリスクと対策

  • 残業や休日出勤で、無理をして長時間働くことで、身体や精神に大きな負担がかかっている。「働き過ぎ」なのか、労働時間や残業時間や休日についての労働基準法の基準について、しっかり知っておこう。
  1. 労働時間:
    • 原則1日8時間以内、1週間40時間以内
    • 36協定があれば月45時間、1年間360時間まで時間外労働がOK
    • 特別条項付協定があれば、今は無制限(?)だが、平成31年4月1日からは単月100時間未満、複数月平均80時間が上限。
  1. 休憩時間:
    • 1日の勤務時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合には60分
  1. 休日:
    • 休日は週1日でも違反ではない。労働基準法上は、毎週少なくとも1回、または4週間を通じ4日以上あればよい。
  • 長時間労働で、心身の健康リスクは高まる。自分をまもる働き方、対策が必要だ。(次回に続く)

~~~~ 文責:産業カウンセラー:中村澄江 ~~~~

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