心を癒す:マインドフルネスの育て方
マインドフルネスは、古くから、宗教上の修行や儀式として行われてきました。
多くの宗教に共通するその最も典型的な例は「瞑想」でしょう。
瞑想は、歴史的にも世界的にも最も広く行われているマインドフルネスの形です。
しかし宗教的な瞑想の形だけがマインドフルネスを実践できる方法というわけではありません。
マインドフルネスの気付きと受容
マインドフルネスというのは、難しい脚の組み方をして座禅する形で瞑想することだけを意味しているわけではありません。
それは自分の内側にある気付きに静かに意識を向けて見守ることです。
マインドフルネスというのは、人生の今この瞬間の一コマ一コマを、もっとも大切な瞬間として、生きることです。
そこには過去の後悔や興奮もなければ、未来への不安・恐怖も気持ちの高ぶりも無い、ただ今この瞬間にあるものすべてをそのまま受け容れて今この瞬間生きているという実感を感じることです。
そしてその瞬間が次の瞬間に移り、また次の瞬間へと今が動いていくだけだ、という実感です。
今この瞬間に感じる感覚に意識を集中する
ある瞬間に全身五体と五感で感じるすべてのものに意識を向け、気づきの感覚を得てみましょう。
日常生活では忙しくて、気づきの前に意識の対象から滑り落ちてしまっていることに気が付いていますか?
では、日常生活の中でマインドフルネスを養ういくつかの具体的な方法を紹介しましょう。
呼吸に意識を向ける
感情的になっているなと気付いたら、自分の呼吸に注意を向けましょう。
呼吸は、一瞬一瞬の感情の動きを敏感に反映しています。
将来起こるかもしれないとてもイヤなことを想像してみたり、過去に起こったとても苦しかったこと悲しかったなどを思い起こしてみてください。
- ネガティブな感情が湧き起って、心が緊張すると、たいてい息が浅くなっています。
- 胸で呼吸しているでしょうか?
- 胸の動きが固い動きになっていませんか?
- 困った事態に直面すると息を詰めてきいる感じがしませんか?
- びっくりすると文字通り「息をのむ」という反応をするでしょう。
- 胸から肩お腹にかけての感覚も確認しましょう。
- 逆にとてもリラックスしているときはどうでしょうか?
呼吸はあまりにも当たり前過ぎて普段はまったく意識の光を当てることもない行動です。それだけに、いったん意識の焦点を当てると色々な気付きが得られるものです。
目や耳や鼻などで感覚としてとらえているものも、呼吸と同じように日常では意識することもなくそのままやり過ごしてしまいがちです。
ある瞬間に感覚としてとらえているものに対して、意識的な気付きを投げかけて、その瞬間の感覚を鋭敏に感じ尽くしてみましょう。
これがマインドフルな感じ方と言えるでしょう。
シャワーもマインドフルに
- シャワーを浴びているときにお湯がどんなふうに皮膚の表面を流れていくのかを感じ取ってみましょう。
また
- 椅子に座っているときどの場所がどう休んでいるかといった身体の感覚を感じ取ってみましょう。
こうすることで、身体の各部位の身体感覚に波長を合わせて、その声を聴きとってみましょう。マインドフルに身体の感覚の声を聴き取るのです。
考えや感情の流れ
脳の中に意識を向けてみましょう。
今この瞬間湧き出している考えや感情は、浮かんでは消えて行くはかないものだと認識することです。
川の流れにうかぶ泡のようなものです。
その考えや感情でいっぱいになったからといって、それによってあなたの人柄は決まるわけではないのです。自分自身を否定的な考え方のパターンに陥りがちな性格だと決めつけているかもしれませんが、そのパターンにはまり込まないで、そこから自由になることができるような思考や認知の回路を育てることは実はそれほど難しいことではないのです。
ネガティブな考えや感情は湧くに任せてそのまま川に流してしまうような感覚で扱うことができるでしょう。これが浮かんでくる考えや感情に対するマインドフルな受け止め方と言えるでしょう。
「食べる」マインドフルネス
「食べるマインドフルネス」のエクササイズでは、よく欧米ではレーズンが使われます。
- レーズンを1個つまみ、まずよく見て観察します。後で絵に描けるくらい一つひとつの皴や色あいまで、じっくり眼でとらえます。
- 次に香りをかぎます。眼をつぶって鼻の奥に感じられるレーズンの香り十分に感じ切ります。
- 次に口に入れて先ずは噛まずに下の上でレーズンの表面のザラザラした感触や表面の味を味わいます。
- それからゆっくり一回噛みます。噛みながらどんな味が中から出てくるか確認します。
- 次に噛むのも一回、ゆっくり味わいながら。
- 2-3回噛むと下の上にレーズンの中の味がどっと噴き出して広がるのを感じます。
- 1個のレーズンを十分に味わい尽くしたらゆっくりと飲み込んでそれが喉を通って食道を下りていくのを感じるのです。
- このように、1個のレーズンが与えてくれる一瞬一瞬の感覚のすべてをとらえ切ろうと意識を口の中に集中するのです。
- 1個のレーズンを十分に味わい尽くして飲み込んでから、2個目のレーズンに手を伸ばします。
- このような食べ方をすれば,レーズンを数個食べるのにも何分もかかります。しかし計り知れないほどの豊かな感覚がそこで得られます。
- 今この瞬間の一瞬がどれほどの豊かさを持っているかを身に染みて理解できるはずです。
食べることは、現代社会では、特にないがしろにされがちな行為です。
ただの無意識の習慣になってしまっていませんか?
「食べるマインドフルネス」は日常的に実践することもできます。
食事は毎日必ずどこかでするはずです。
日本人であれば一膳の白いご飯をゆっくりと見て嗅いで何度も噛んでじっくり味わって楽しむということを実践することは簡単なはずです。
食べるという普段からあまりにも当たり前に通り過ぎてしまっているこの行為から得られる感覚の豊かさを味わい尽くしてみましょう。これがマインドフルに食べるということです。
呼吸法と座る瞑想
このサイトでは、ストレスを低減するためのいろいろな方法を紹介しています。
中でも、マインドフルネスを養い、その結果、ストレスを受け流す力を育て健全なこころの状態を保るのに特に役に立つのは
- 呼吸法
と
- 座る瞑想
でしょう。
呼吸に意識を向けるだけでなく、呼吸に働きかけてみましょう。
このサイトの別の記事で呼吸法や座る瞑想についてのやり方や、それを習慣にする方法を詳しく説明しているので是非トライしてください。マインドフルネスが身につくはずです。
ボディスキャン
ボディスキャンは、じっと静かに瞑想しながら、体のあらゆる場所をスキャンするように意識を向けて、それぞれの場所で感じられる感覚をありのままに感じ取るというエクササイズです。
身体の各部位で感じられる感覚を受け流すことなく、また否定したり抑えつけたりすることなく、ありのままに受け容れるというマインドフルネスのエクササイズになります。
これもこのサイトの別の記事で紹介してあります。気軽に試してみましょう。
マインドフルになる方法は他にもある!
ここで紹介した以外にも
- 歩く瞑想
- 立つ瞑想
- マインドフル・ヨガ体操
- 真向法
などマインドフルネスを味わうエクササイズはたくさんあります。
このサイトの他の記事を参考にして、自分なりのマインドフルネ法を楽しみましょう。
まとめ:心を癒す:マインドフルネスの育て方
- マインドフルネスの気付きと受容
- 呼吸に意識を向ける
- シャワーもマインドフルに
- 考えや感情の流れにマインドフルになる
- 「食べる」マインドフルネス
- 呼吸法と座る瞑想
- ボディスキャン
- マインドフルになるその他の方法も試してみよう!